夢に向かい
和子が診察にわざわざ見えられたのでは?と問うと、
「ふふ・・沢木さんは、医学書を何冊も頭に入れられている方ですから、御自分の自覚症状等全てお分かりだと存じます。腰の改善も、皆さんが段取りされてかなり良くなったと聞き及びますし」
何故か、その応対だけで二人の心は晴れるのであった。
香月は、
「私が今日お邪魔したのは、磯川さんに便乗させて頂いた事もありますが、義父からも沢木さんの素晴らしい提案に礼を言いたいとの事、又、私も日本一の天才競翔家である、沢木さんの春レースに対する鳩の仕上りを見たかったからです。私も一競翔家として今日は訪問させて頂きました」
しばらくして、磯川と、沢木が応接室に戻って来た。
磯川がにこやかな顔で、
「全て自分で分かってらっしゃる。沢木さん、環さんへ送られた言葉を全て貴方にお返し致しましょう。若輩の私は、自分の理想と現実のギャップに何度も頭を打ちながら、或る意味、人間関係は、隙間を作っておいた方がスムーズに行くものだと分かりました。沢木さんも常に心掛けて居られるようですが、昨年は大きな変革の年だったのでしょうね」




