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夢に向かい

 何時鳩が戻って来るのか・・尤も難しい200キロレースと言われるこの放鳩地に、否定派の急先鋒である沢木は、今年は参加した。唯一羽ではあるが、大きな意味があると言う。大レースの強みは、短距離レースであればある程帰還率が上ると言う。又、これだけの参加羽数が揃えば、放鳩地の変更・検討も視野に入って来る。恐らく沢木はそこまでも読んでいるのだろう・・松本は、この朝自鳩舎の前に立ち、戻って来る鳩を待ちながらそう思った。この200キロレースには、殆どの鳩舎は、エース級の選手鳩を参加させている。

 その松本鳩舎に一番手に戻って来たのは、一目で上空から舞い降りて来る姿を見て識別出来る大型競翔鳩の夜風系の中でも更に副翼の広い、一際大きい松竜号だった。AM8時半の過去に無い速い帰舎だった。


「ひょっとしたら・・」


 競翔歴40年になる、ベテラン競翔家は、そう感じた。無数に経験して来た鳩レースの中で、自然と認識出来る予感と言うものは、積み重ねて来た経験と言う重みによるものだ。後続は無い・・松本は真っ青の空を見上げた・・。

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