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夢に向かい

「人間の浅知恵が化け物を生む時もあるんじゃわ・・当に数億回サイコロを振った所で偶然性ちゅうんには、生きとる間に出くわす事は殆ど無いじゃろ・・きんど、確かにわしの理論を証明するだけの鳩が、今、ここに存在する」


 そこまで言い切られては、到底理解するには、足元にも及ばない天才競翔家。もっともっと聞きたい論理もあるだろうが、それを自分に置き換えては、とても想像出来はしない。結局・・閃竜号とは、突然変異による全く常識を覆すであろう、競翔鳩なのだと思った。参加レース輝竜号とほぼ同着の2位以外、圧倒的なスピードを誇り、完全優勝。それは、紫竜号と同タイプの競翔鳩と言われても、納得出来る部分もあった。がやがや・・ここで解散となった。そして、誰もが、明日の優勝はその閃竜号だと思った。しかし、沢木は閃竜号を参加させては居なかった。初霜号系の2羽のみ参加で、ヤマチューが連れて来ていたから、知られる事も無かったのである。

 喫茶店に戻った由香里が、興奮気味に父洋司に、沢木の話を伝えている。洋司も驚きはしたが、


「じゅんさんのレベルは例えば雲の上・・わし等には理解出来ん事よ・・閃竜号は、確かに何かを感じさせる鳩よのう・・そやきんど、わしも輝竜号は、今春力を発揮すんで無いかと思うとる」


 翌日は、そう天候的には良くは無かった。しかし、100キロレース、そう荒れる事も無いだろう。 沢木もそう予想した。

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