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車椅子の少女
松本が答えると、
「そやって・・あの鳩は、鎌足さんとこの夜風系で、絶対他には出さん言よったじゃ無いですかあ、ほれに、わしが何遍も分けてくれゆうても、あかん、あかん言よったや無いですかあ」
不服そうに食い下がる妻鳥に、松本は一喝した。
「ええい、うるさい奴よ。この前、妻鳥、お前に言うたじゃろうが、4羽の中で1羽の勢山系の血を引く鳩を言い当てて見いゆうて。お前はあかんかったじゃったろうがい」
「そやった・・そやきんど・・ほんなら、その言い当てた人に分譲するんかいね?松本さん」
「そうじゃ。わしやっての、そなん初めて鳩に触る者が、8羽中2羽を当てずっぽでまさか言い当てられるとは思いもせんかったわ。まさか・・まさかじゃ。きんどの?それは、きちんと鳩の見る眼が備わっとったちゅう事で、二度驚いたんじゃ。妻鳥、お前、競翔を始めて何年になるんじゃ?」