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夢に向かい
由香里の天性の性格と明るさは、敵と言うものを作らない。館長さんの多大なる協力も得て、由香里は急速に自分の歩きを取り戻しつつあった。時折由香里の頭の中に聞こえて来る、清二少年の言葉には、誰にも告げて居ないが、二人の能力が高みに上るような感覚にあった。
不思議な能力・・由香里には確かに日毎に大きくなって行くのを感じた。
合同訓練は、距離も短い事もあり、好不調と言う言葉が踊る事も無く、又特別早い鳩舎も聞かれなかった。話題にならなかったと言っても良い。
そして、いよいよ100キロレースの持ち寄り日がやって来る。一般レースの者も幾分打刻する人数が増えたのか、鳩時計をセットする会員が目立つ。
沢木が少し遅れてやって来る。相変わらず話題の中心の中に居るが、明日の展開予想を聞かれると、彼はこう言った。
「面白う無くなるきん、レース予想はせんとくわ。ほれとも何か?馬でもやっとんかいの」
どっと周囲が笑った。




