夢に向かい
沢木が一番恐れたのは、不可抗力的な事故であろうと、施主にとっては忌み嫌うもの。施主には、額を擦りつけんが如く詫びを入れる。幸いにして、施主からクレームが入る事も無く穏便を得たが、そんな沢木の言葉が、グループ全体のやる気と結束を更に生んで行く。事実鎌倉は、白川の片腕と言われる職人として、今後育って行くのだった。
又、翌日沢木は東予市の駅前再開発事業担当の、青木産業㈱の社長、青木 保の所へも足を向けていた。
共に、KS食研㈱ の成長と共に深く関わりある間柄であるが、青木産業㈱を甲斐田に紹介したのは、請け負った現場での意気投合が元であった。仕事が縁を結ぶ事は多々ある。その中でも年がそう違わぬ二人は、友人関係に近い間柄でもあった。
「たもっちゃん」「じゅんちゃん」と二人だけと面する時には、現在そう呼び合う仲までになっていた。
「はは・・聞いたで。白川君をこっぴどう怒ったそうじゃのう」
「まあ、現場が一番大事じゃきんね。緊張感は仕事の上で必要じゃきん」
沢木が答えると、
「山根君、ようやってくれとるわ。彼は、喋るんはちとあかんきんど、黙々とようやってくれとる。これから現場見て来るんじゃろきんど、じゅんちゃん、わしが褒めとった言うてくれ」




