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夢に向かい
病院に向った沢木は、到着してすぐ、
「済まなんだ、鎌倉君。大事な職人の足に怪我させてしもうた」
その沢木の言葉に、急遽掛け付けた、鎌倉の奥さんの洋子さんが思わず落涙・・こんな言葉を掛けてくれたTOPが今まで居ただろうか、嘗て・・それも大事な職人と主人の事を言ってくれた。
「そなな、オーナー。わしが気つけとったら事故に遭わなんだんですわ。勿体無い言葉ですきん」
沢木グループに入り、給料は倍近くになった。それまでの下請けの仕事とは違い、個人の責任の重さは感じるが、やる気がある者はどんどん多用される。やり甲斐のある会社だと鎌倉は思った。少し遅れて到着した白川に、沢木は大声で怒鳴った。周囲がびっくりする程の声に、看護師さんが静かにと言う注意をする程だった。どんな些細な事でも、目配りをしておれば事故は防げたかも知れないと言う沢木の言葉に、又鎌倉の目が熱くなった。これぞ、沢木流の人心掌握術・・否、彼の本音の部分なのかも知れない。
怒られた白川とて、充分にその意味は分かっている。沢木は、休業中も給料の全額を補償する事を約束し、病室を離れた。




