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夢に向かい
「沢木さん」
呼び止められて、沢木が振り向いた。
長谷川であった。
「何かいの?長谷川君」
用件は分かっていた沢木だが、敢えて聞いた。案の定・・
長谷川が示した資料は、荒尾が、漁協理事の時に発覚した、多額の使途不明金であった。架空の会社に払われた資金は、どこへ渡ったのか・・それは、県議、知事にまで飛び火する大きな汚職事件へと発展する前に、荒尾が退任する事で結局刑事事件までには至らなかったものの、漁港工事に関するかなり以前からの慣習と、県・市土木港湾関係者の繋がりであった。
「これをどうする言うとんぞ?長谷川君」
「昔の話ですきんね、今更自分等が騒いだ所でこう言う類のもんは、どこの当局でも出て来ると思います。触らぬ神に祟り無し言う事ですきんど・・」
「そうじゃ、突付いたら突付く程、今度は長谷川君、自分のとこの県庁に飛び火するかも知れんわのう」




