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新しい年に
「え・・勿論・・異存はありません。桜井さんは、実力のある方ですし・・」
3役と言う体制が瓦解するのを橋本は感じた。常務取締役と言えども、社長の補佐役と言う事は、実質上自分の立場と入れ替わった事になり、これまで渉外役として 業者の接待を受けていた自分は、その役から外され、教育係とは・・そんな役は、引退近い役員が受けるものだろう・・橋本は思った。しかし、自分の教え子でもある信一郎も認めたポスト、やはり重要な役目か・・橋本も思い直した。
だが・・この人事はやはり橋本外しの序章であった。次々に橋本が抜擢した部長、次長クラスの人事が異動になり、後任の桜井の意見が相当反映されるにあたって、橋本は思わず歯噛みしたと後日聞こえて来た。
外部からの人材の招聘がいかに難しいものであるか、信一郎は悟っていた。そして、橋本も性急に自分の実績を築く事に専念した方法が、過ちだった事に気づいた。




