新しい年に
「そこや・・信一郎。わしはな、佐久間社長の片腕として、お前にHZKの舵取りを願って来た。事実ここまでHZKが伸びたんは、古い慣習やしきたりや、業者との癒着を排除し、人心を一新してやって来たからや。ところが、橋本君は違うた。学識の経験も先進的な考えも、大学での実績も申し分は無い。せやけど、一番HZKにとって排除した筈の古い業者との接待や、派閥論理が途端に頭をもたげて来た。のう・・信一郎、お前にとっては恩師や。遠慮もあるやろ、そやけどお前は佐久間社長の補佐役として、もっともっと多角的な視野を持って、違うとる事は堂々と言える立場になって欲しいねや。羽崎はんもわしも、引退した身や。経営に口出しする気はあらへん、そやけど、ここまでHZKの基礎を作って来た自負があるねん」
「・・分かりました。お父さん、言われる事は尤もです。私も予想外に、今回の人事は性急過ぎたと思っています。橋本専務は、新設するHZK総務部教育担当として経営学を教える部署に回って貰いましょう。で・・今回の進言は、沢木さんからですね?」
新川は、返事をしなかった。だが、その顔は、肯定を意味していた。




