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新しい年に
「おう、沢木さん、久しぶりですね、新年明けましておめでとう御座います」
かなり下腹が出た中年男性は、アメリカからブリクー系1鳩舎を丸ごと購入したと言う香川県では有名な人物で、300羽に達する大鳩舎を構えていた。氏は最近は競翔から遠ざかり、もっぱら分譲を主に行なっている。
「凄い・・」
大きな鳩舎内に羽ばたく、無数の鳩達であった。
「あの1羽・・ちょっと触らせてつか」
沢木が言うと、大前田氏は、素早く大鳩舎の中からその1羽を掴んだ。
「ははあ・・エルパソ号の血筋かいな。直仔?孫?」
大前田氏は笑いながら、
「相変わらず、鬼眼じゃあねえ・・。エリパソ号直系は10羽に足らん数になってしもたきんど、その1羽が一番の出来ですわ。最後の直仔かも知れんね、血統書で確認して見らいな」
大前田氏が、鳩舎から大きな旧家の自宅に一端戻る。




