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新しい年に
最近でこそ、余所者扱いをされる事は少なくなったものの、やはり、小さな事業主とは言えど成功者としての沢木を、妬むような声は聞こえて来る。しかしながら、そんな声をいちいち気にして世間を渡っていたら、生きては行けるまい。人はどんな正論を吐こうが、完璧な事をやったとしても、どこかに批判の声が聞こえるものである。今度は逆にそつが無いと言った類の批判が出て来る。
そんな話を久し振りに夫婦二人で、和子の日頃の鬱憤等を聞いてやる形で沢木は頷いていたが、突然、
「あんた、鳩の世話どなんしとん?」
「おう、ヤマチューが今日は見てくれる事になっとる。鍵を渡しとるきんの」
「正月じゃのに、気の毒やわね」
和子が言うが、
「何ちゃ、そなん事は思わん。動物に正月も、盆も無かろうが。食うちゅう事が一番じゃきん」
「動物居ったら、旅行もいけん。365日しばられる・・」
それは、近所の鶏舎が日頃そんな愚痴を零している事を和子が言ったのである。




