130/3046
由香里と勇次
何かを沢木は逡巡しているようで、その心の変化を香月は見逃さなかった。
「初対面の皆さんに、こなな荒唐無稽な事を申しあげるんは、気が重い。そやきんど、今香月博士が言うてくれた言葉に勇気を発して言わせて貰います」
川上氏がにこにこ笑っている。昔の香月少年を思わせるような好人物に、次の言葉を待っているかのような顔であった。
「S工大の天才学者さんを前にしてあれですきんど・・夜風系は2系統に分かれとります。恐らく競翔鳩誕生の短い歴史の中では、そんな○血統なんちゅうはっきりした固定は出来ん思うとります。わしは、三十年前、その翠波号、天魔号を見てそう思うてました。そやきん、鎌足さんに、(うっとおしい奴よ、来るな)言われながらも、徹底的に観察したんですわ。同じ血は、これから先も交じ合う事は無いと・・」




