由香里立つ!
「では、私の大切な友人、沢木 環さんと、ご婚約者の妻鳥通夫さんをお招きします」
拍手が沸くが、少し間が開いた。その訳は、感極まって泣く妻鳥の姿である。
由香里と勇次が二人で、その手を引いて迎え入れた。
とりの挨拶は、涙で詰まって聞こえない。しかし、美里の二人を祝す曲【閃きの中で・・】が勇気付ける。
「本日は・・白城の開店半年記念パーティ・・そして、由香里さんの・・うぐ・・このような素晴らしい快気祝いと言う席で・・これ・・以上喜ばしい事は・・ありません。感極まって涙が出て・・色々考えて来たんですが、上手く喋れません。・・でも、このような祝宴が営まれる事は・・ここに居られる皆さんが、日頃より・・佐々木家と深い御親交があり、そしてこの手術にあたって、東奔西走された、婚約者の環さんの父であります・・沢木さんの大きな力があった事と聞き及びます。本日・・その沢木さんの長女、環さんと婚約する事となりました・・私事を先に述べさせて頂きますが、私の実の妹は、5歳の時、交通事故で亡くなりました。私が初めてこの由香里さんにお会いした時、その妹と同じ年であると言う事と、交通事故と言う不幸で・・その気持ちが・・う・・重なり・・」
環が、とりのそっと涙を拭ってやる。




