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由香里立つ!

「わしの一存では決めかねますなあ・・出資比率は3分の1ずつちゅう事になった筈ですきんど、その辺はどうお考えで?」


 佐伯との会話の中で、少し気になる点も幾つかあった沢木だが、自分の知らない間に、このプロジェクトの担当役員になっている事に、橋田と言う人物の小官僚的な性格を見た。失敗すれば、沢木が全責任を負う事になる。自分には失点は無くする・・それに、橋田を強く引き入れた新川副社長の優秀さは知っているが、彼は学問と言う絶対的な位置を崩そうとしない。或る意味それは、間違い無く会社組織として必要な資質であるが、企業がステップアップする時は、大きな決断も時には必要では無いか・・沢木は思った。結局この佐伯の申し出は、沢木一任と言う形になってしまう。嫌が応でも、沢木はこの大きな流れに飲み込まれてしまう訳であるが・・そこは、やはり起業家としても天才と言われるその手腕で、着々と既に布石は打って行く。沢木は既にHZKで、大きな位置になって行くのであった。

・・・かくある沢木にとって多忙の中、とうとう由香里退院の日がやって来た。

 津島から大きな花束が渡された。この日ばかりは、三観総合病院の職員として、由香里を送り出す環。

 由香里はゆっくりと、しかし、しっかりとした足取りで歩いた。

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