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由香里立つ!

「学者ちゅうんは、頑固ですきんね、自分達の論理を曲げようとせん」

「お前やから言える言葉やけど、信一郎もびっくりしとったわ・・はは」


 立場を失う事の怖さ等、沢木には微塵も無い。しかし、それは急速に予期せぬ動きへ発展して行く。

 そんな沢木の近況も、波瀾の幕開けを予感するように、その前に未優が久し振りに自宅に戻って来た。以前より生気に溢れ、明るい表情になっていた。


「頑張っとる見たいやな、未優」


 時々電話をする間柄の姉妹であった。その環は、何やら荷物を詰めている。


「何しとん?姉ちゃん」

「これな、家出るきん、その支度」

「え・・?そやって、春じゃろ?病院変わるんちゃ」

「その前にな、親父に家追い出されるんじゃ、ふふ」


 その割りには、明るい表情の姉、環の様子に


「あれ・・?ほな、公認でもう妻鳥さんとこで花嫁修行?」

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