新たな動き
「HZKがベンチャー投資するのは、1年間で10億まで。確かにこの1年の中で見ると、沢木さんのご提案の案件に5割、5億の投資がありました。ですが、計画書も完璧で、回収出きる見込みも高いです。何故なら新規事業では無く、既存の会社に投資する設備投資だけですから。しかし、ベンチャーとは、そもそも、人材に投資する要素が大きく、既存企業を伸ばす事では無く、新規事業本体の時代への即応性とか、成長に賭ける部分が大きいと思います。橋本さんは、恐らくそう言う事を言われたかったのでしょうね。我々も、沢木さんの御手腕や、その経営理念、先見性は高く評価しています。しかし、客観的に見れば、沢木さんの所は、このHZKの関連会社であり、独立した一企業です。その辺の所を取り決めるのは、役員会は総勢30余名を数えます。大変ですよ・・この扱いは・・」
「少し勇み足でした。思慮が足りませんでした・・」
信一郎と言う優秀な人でも、失敗はある。橋田の言うように、この大きくなったHZKを経営・切り盛りするに当たり、TOPの決裁で済む時代ではもう無いだろうと言う指摘。しかし、それが正論であっても、人の感情と言うものは、そんなに単純ではいかない。今まで散々苦労してHZKの発展に寄与して来た人達の上に、いきなりどんな偉い学問を学んで来たかは知らないが、所詮外様である外部の人間が上に立つのである。それも着任早々、歴代の役員にクレームをつけていたのでは、これまでの和が乱れる。佐久間の渋面にはそう言う理由もあった。




