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由香里と勇次

 桜井が眼を丸くした。新川がこれ程惚れ込む男は、ざらには居ない。しかし、沢木は、


「何言われとんです?新川相談役。信一郎さんゆう、立派な跡継ぎが居られ、善さんと言う芯になる名工始め、続く若い職人さんが立派に育っとるそうやないですか。わしなんぞ、出番なんてありません。そう言うて頂くのは無常の喜びではありますきんど、わしは、自分が思うように生きるんが性に合うとんです。そやきん、生意気ですきんど、型に囚われない、コーディネートが出来るんじゃと思うてます。笑い話ですきんどね、新川相談役、桜井支店長さん。わしは新川さんとこの木工の切り屑を四国に送って貰うて、それだけで、うどん屋の室内装飾した事があるんですわ。その名が、当に藁で出来た家、「藁ノ屋」ちゅうんです。製作費用は、若い主人が金無いちゅうんで、80万円ですわ。そなな仕事ばっかり受注しとったら、商売にならへんですきんな。ははは」

「わははは」


 新川、桜井は笑った。しかし、その藁ノ屋は研究熱心で努力家の若いうどん職人の評判で、今や行列が出来る店になっているようだ。沢木は、その真剣に家を持ちたい、商売を始めたい。そんな人達に損得抜きに、何度も足を運び、希望を聞き設計士さんと相談しながらやって来た。

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