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由香里立つ!
「ま・・待ってつか・・環さんがどなん・」
とりが、動揺しながら聞くと、
「はは・・承知しとるから、わしがここに来た。後は、道夫君の気持ち次第よ。言うとくきんど、結婚と違う、婚約じゃきんの?」
その念押しの言葉の奥には、父親たる気持ちが込められている。とりは、正座をし直し、そして・・
「お願いします!環さんと婚約させて下さい。わし、こないだ環さんから、4月になったら今の三観総合病院辞めて、東神原市の磯川総合病院に勤務したい言うの聞いて、ショック受け取ったんです。ほんでも、環さんが信念持って決断した事じゃきんね・・」
沢木はここで、
「お母さん、娘は親に似て、自分の思い立った事は曲げん、真っ直ぐに進みよんです。ほやきんど、娘はこの道夫君に出会うて、ほんまに良かった思います。こう言う包容力があって、優しい男性じゃきん、わしはこの話を持って来たんですわ。結婚はちょっと先延ばしになるかも知れんきんど、婚約だけでも認めて貰えんですか?」




