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由香里立つ!
「はい・・はい、父さん」
親父としか呼ばない娘が、今朝は父さんと呼ぶ・・沢木は少し眼が潤んで反対に向く。その視線の先に善さんが居て、にこにこ笑っていた。
「お早う御座います!」
「は・・はい」
髪を整えながら起きてきたとりの母親、妻鳥紗枝子。年は、沢木とほぼ同年代の54歳。
「あれ・・沢木さん、どなんされたんです?こなん早うに・・」
「済まんですね、店が開く前に思うて来ました。ちょっと中・・ええですか?」
「あ・はあ、散らかっとりますきんど、どうぞ・・・」
朝食準備をしていたのだろう、火を慌てて止めて、茶を運んで来る紗枝子。
「ほんま済みません、朝早う訪問しまして」
「いえ・・で?何でしょうかいね・・」




