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由香里立つ!

 かなり集計が長引いた事で、この夜はレース結果の分析議論は成されず、そのままの解散となったが、沢木の名は四国競翔界に又、響いた。しかし、とりが、500キロレース以降急速に開花しつつあるのを感じた。それはやはり川滝系真髄の血が、その優秀な集大成の花を今開かんとしているようだ。勿論、洋司の所にもその最高の種鳩が居る。洋司の鳩は、晩生・・それは、沢木が言う通りだろうと思った。突出した鳩達に翻弄されるこの秋レースに、目立ってはいないが、充分その秘めた素質は伝わっていた。

 こうして、秋レースは終了した。静けさが戻る。

 外は、もう石鎚山に初雪が降る・・

 一方、環から重大な決意を打ち明けられたとりは、思い悩んでいた。

 環が、磯川の誘いを受けてフリーの立場の理学療法士として、東神原市へ行きたいと言い出したのだ。その布石は、環が、磯川則哉と出会った時から既にあった。そして磯川は、父沢木とも面談している。由香里のリハビリ担当として、約半年とちょっと。環は、彼女なりに必死になって努力を重ね、頭を打ちながらもこれまで頑張って来た・・

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