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由香里立つ!
「栗田はん、崩しゃええ。わしも、鎌足さんから譲り受けた夜風系の血を、守り育てる事が使命と、ここまでやって来た。そやきんど、やっぱり行き詰まった。どなんしたもんかと思いよった時、この沢木が姿を現し、今まで考えた事も無かった異血である白虎号を連れて来て、わしの松風号と交配さしたんよ。その時、わしは思うた。何でこの手に今居る最高種鳩の交配を、今までの自分の定理の中で考えよったんじゃ・・と。今まで何ぼもヒントはあった筈なんよ。それを見逃しとった。 壁は絶対破れる。剣系は、もっともっと進化出来る道があるんで無いんかいの、嘗て日下系を香月博士に託したように・・」
「あ・・」
低くつぶやき、栗田は大きく頷いた。
栗田も又、自分の殻に閉じ篭り、ひたすらそれを守ろうとした為に、迷路に陥り、そこから抜け出せない自分に気付いたのだった。沢木は、その血統の行き止まりを見ていた事になる。香月の目指す道、そして沢木の目指す道とは、やはりとてつも無く大きい・・松本はこの夜もっとはっきりと感じたのだった。




