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由香里と勇次
「厳しい分もありますけど、やり甲斐もありますね」
「そうか、うん。沢木君なら、誠実に対応しよるやろ、安心した」
並んで嘗ての師匠、弟子の立場でもあるが、信頼関係は強固に出来上がっていた。
「ところでな、今回は、HZKの東京支店の祝いもあるんやけど、沢木君、ちょっと寄りたい所もあるねん、付き合うてくれへんか?」
「ええ、勿論構いませんよ」
「そうか。ほれなら、わしに段取りは任せて貰お・・」
この出張が、沢木と言う人物にとって大きな出会いになって行く。
HZKは佐久間米次新社長体制になり、前社長は会長兼相談役に。新川も、今期で取締役を退任予定だと言う。既に、HZKは若い世代に交代し、全国展開を始めていた。
その式典も終了し、沢木は、新川と共に料亭に出かけていた。
「はは・・沢木は、強情な奴やったからのう。ほうか、そないな事もあったんか」
沢木がようやく一本立ちして、何名かのフリーインテリアコーディネーターを束ねるまでのエピソードを新川達と笑いながら話あっていた。同席していたのは、今度東京支店長に就任する桜井であった。




