由香里立つ!
「ほう・・成る程なあ・・。それが一番ええかも知れん」
今日もこの牧場で1日を過ごすと言う善さんを、藍川が町に出る時に彼をお送りしますよとの事で沢木は、牧場を後にする。
その頃、大騒ぎとなって注目を浴びていたのは、ヒデ君だった。代表する選手鳩、秀波号は、実績充分。これからどれだけ成長をするのか期待されている鳩。来春には竜飛崎1000キロ競翔に参加されるだろう。
「ほうかあ、午後12時58分に打刻したんかい。実距離なんぼじゃった?ヒデのとこ」
聞いたのは、ター君。加藤と、加地も一緒だった。
「えーとなあ、676・・・・キロじゃ、確か」
「ほな・・・・分速1640メートル前後じゃの・・」
ター君が紙に書いて計算した。
「沢木さんとこは?」
ヒデ君が聞く。
「ほれがなあ、よう分からんのじゃ。洋司さんとこの喫茶店に来たんが、1時半前じゃったらしいわい。その時には、もう6羽戻っとった言うきん、どなん最後の鳩を遅うにタイム打ったとしても、午後1時過ぎちゅう事にならいの?それより前にTOPの鳩がヒデと同じ時間位じゃと考えたら、沢木さんとこ685キロちょっとあるんじゃわ。やっぱり分速1600メートル後半ちゅう事になる。どなん考えたって、TOP集団はこの7羽じゃ。それ以外は居らん」
「松本さんとこは?松竜号居るじゃろがね・・」




