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由香里立つ!

「わしんとこ2時35分じゃきんどな、これでも早いん違うんかいね、春の700キロレース、過去の帰舎と比べたら」


 間髪を入れず旭が、


「早いですわ、めちゃくちゃ早い帰舎ですわ・・きんど、今知り得るヒデ君と、沢木さんとこは飛び抜けとる・・肝潰しとりますよ、300キロの時もそうじゃきんど・・魔法使いじゃね、こうなると沢木さん・・」


 この日は、各鳩舎が情報収集に動いたようだ。当の沢木は、善さんと藍川牧場に来ていた。


「はは・・頑張っとるな、二人共」


 日焼けの真っ黒な顔から、真っ白い歯が覗く。それだけでも藍川夫妻が元気で、頑張っている姿が映る。この広大な土地は、前にも触れたが、鉱山施設の跡地。その地下には、銅鉱石を採取して、選別された低品位な鉱石や、付随して鉱石の何倍もの量となって出て来る、ズリ石が埋まっている。表面は整地され、その面影は無いが、地下水は、鉄分が染み出て飲み水には適さない。そこで、かなりそこからは離れているが、水源からパイプで水を通している。牧場経営には、この水の確保が重要課題。その水源確保として、数千万円掛けて今ボーリング中であった。資金は甲斐田が出している。そこまで資金を投じるのにも理由がある。この牧場に、研修生を受け付け自然農法を学びつつ、長期滞在型の宿泊施設を造ろうと言うものだ。

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