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由香里立つ!
雄々しく羽ばたくその様は、鳩を飼育している側から見て過大的に言う訳でも無いが、陽光にその美しい姿態が反射し、首に錦秋を散りばめたその煌きは、まさしく空を飛ぶ宝石。人は愛しみの中に、これまで同じ時を共有して来た彼等(鳩)の存在を忘れてはならない。彼等は、人の敵であったのか?彼等は、常に我々の側に居て、その愛苦しい姿で、心を和ませて来てくれたでは無いか。我々の寂しさを埋めて来てくれたでは無いか。生誕して15年、彼等はその生を精一杯まっとうして来たでは無いか、真っ直ぐに・・もし、彼等の生活が脅かされ、その場所を追われる事があるとしたら、それは、我々人間の責任である。彼等には何の非も無い。
本能のままに、自分の住む巣を目指す。その羽ばたきは、ただ純粋に・・。
待っていた。この日は、午前中には競翔仲間が集まっては居たものの、昼からは、殆ど姿を見せなかった。しかし、沢木がそこに居る。
洋司が前に座っていた。
「今日の天候からして、じゅんさん、どなな帰舎予想がつくんかいね?」
「よおちゃんは、どなん思うとる?」
沢木は、洋司に逆に聞く。




