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転換
「う・・ぐぅ・・」
イクちゃんは、口を押さえて走り、裸足になったまま境内で嘔吐した。そのショックは自分が思い悩んだこの数ヶ月の全てを覆いつくし、それでも到底受け止められるものでは無かった。沢木が、そのイクちゃんの背中を擦ってやる・・。
「う・・うくく・・くぅ・・」
自分の愛する女性の体が・・こんな現実を見せられたらそのショックは計り知れないだろう。沢木は、イクちゃんの気持ちを受け止めていた。
「イクちゃんよ。よう考えて見いや?自分と、由香里ちゃん。この現実。そやきんどの・・由香里ちゃんは、自分でもう一回立ち上がる為に両足切断したんじゃ。その上で、今由香里ちゃんは誰とも会いとう無い言うとるし、現実的には会えん環境下にある。わしが言えるんは、ここまでじゃ」
大きなショックを受けて、項垂れたままイクちゃんは、沢木の車で送られた。
沢木は、何故こんなショッキングな写真を彼に見せたのだろう。




