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 宗教なんて、理解出来る程の年齢でも無い、商家の息子で、両親の父母は健在であり、家に仏壇がある訳でも無い。祖父母の家に遊びには行くが、仏壇に手を合わせるのは盆の時位。いきなりこんな世界は、思考が追いつかない。まして・・魔とは・・・


「びっくりさせてしもうたようじゃ。難しいに考える事は何ちゃ無い。宗教的に、何をどうせえちゅう事でも無い。ただ、世の中にはな、イクちゃん、常識を跳び越えて信じられん事も多々あるんよ。まあ、今日はわしに何が出来るんか分からんきんど、イクちゃんの心配事、取り祓うたろ。冷静にちょっとはなったかいの」

「え・、いや・・あの」


 阿仙師とは俗名のようで、多くは語らない。ただ、座っているだけで大きい存在感だけは感じられた。

 沢木が言う。


「イクちゃん、心配事の一番である由香里ちゃんは、元気じゃきん、それだけ先に言うとく」

「え!ほんで!ほんでどこに居るんですか、由香里ちゃん」


 イクちゃんの眼が、かっと見開かれる。

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