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「はい・・」


 善さんが、


「ヤマチュー、お前、心のどっかには力自慢しよった記憶があんねや。お前は確かに強いんかも知れん、刃物見ても立ち向かう勇気もあんねやろ?そやけどな、今HZK居る修二も相当な暴れやったけど、新川家具に入ってからは、ただの一遍も、職人の腕傷つけた事無い。大事な職人の体傷つけるな、わしが言いたいんはそう言う事や、社長もそう言う事思うてる」

「は・・はい」

「よっしゃ、不問じゃ。今から、ヤマチュー家に帰れ。鳩が戻んて来る時間に間に合うた。何とかの」


 善さんがにこっと笑った。そう言う優しい気遣いが出来る社長だからこそ、最後まで会社名を口に出さなかった、そのヤマチュ-の気持ちが善さんにも良く分かるのだ。その男気に、田中署長もほろっと来たと言う。

 沢木が予感した通り、12時前に鳩が戻って来た。

 今度も5羽打刻。数分と違わぬ帰舎だった。が・・沢木は少し浮かない顔。


「やっぱり・・コース選択の誤りじゃ。こなんタイムではとてもとても・・」


 その呟きは、何を意味するのか・・この時点では誰も分からなかった。

 午後2時頃になって、昨夜の女の子が、父親と沢木の事務所に来た。

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