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車椅子の少女

「松本さん、わしに分譲してや。一羽でええきん、夜風系。春に子取りたいんじゃ」

「そなん、簡単に使翔出来る血統や無い。まして、お前じゃ、まだまだじゃ」


 松本が素っ気無い。それは、何時もの会話であった。妻鳥には何時も厳しい言葉をぶつけるが、熱心で真っ直ぐな人物は、可愛い弟子の一人であって、嫌いでは決して無かった。


「あ・・ほや。ほなら、妻鳥よ、テストして見てやろか、お前がもしこの4羽の中から1羽の勢山系の血を引く鳩を言い当てたなら、春の子を1羽、お前にやる」

「え!ほんまかいね!松本さん」


 妻鳥の目が輝いた。そして、随分長い間触診し、ルーペでアイサインまで見て妻鳥が出した結論は、自信たっぷりに、


「これ・・この鳩じゃ」


 松本の眼が光る。

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