秘めた才能
松本が、
「ほんで・・山部さん、あんたその通りにするんかいの?じゅんの・・」
山部が笑う。
「いやいや・・わしも偏屈で通っとる男じゃきん、沢木の言うとる理屈は分かるきんど、そのままは受けん。来年は100羽位に数絞るし、この秋でかなり主力は分かって来るじゃろ。300キロまでで、286羽参加、252羽戻っとるきん、帰還率約9割じゃ。血統の優秀さは紛れも無い。500キロまではとにかく様子を見たいんじゃ」
そんな話の中で、開催された400キロレースは、これは全く予想を覆す結果になった。
松竜号失速・・このレースはかろうじて9位に入った。優勝は、前夜この秋期待はされては居たが、これまで入賞も無かった、山部であった。白川系は400キロでその厚い血統の片鱗を見せた。2位には、秋山が入る。3位には、村本、4位に旭、5位に鎌倉、6位に清水、7位に加藤、8位に木崎、10位に西条が入る。大人数となった今秋では、300キロレースからは、容易に入賞をするのは難しい。その中で頭角を現して来たのは、関東4強の血であった。
400キロレースが終わり、500キロレースまでの1週間、沢木が洋司の喫茶店に毎日顔を出している。
とりもその一人だった。




