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秘めた才能
浜田の印刷工場に4色の輪転機が入った。10年間のリースを組んだ。月に100万円近くを払う事になる。その保証を沢木のインテリアショップがする。浜田は、その額の大きさにかなりの難色を示していたが、強く沢木は勧めた。既に、印刷受注が入っている。甲斐田食品研究所(略して㈱KS食研)のカタログ作りである。石川がデザインから版下まで全てを受け持つ。既にそれは大きな受注として進行していた。
「いきなり・・900万円の受注じゃ・・こなな大きな仕事、はっきり言うて自信が無い。やれるんじゃろか」
浜田が不安を口にする。沢木は、
「浜やんが、ほなん事言うんは、変じゃの、ははは。最初からそなん完璧に出来るもんや居らん。何事も経験じゃろがい。紙のロール、1本や2本ようけ使うたってどなんしたちゅうんよ。ほなん事位計算に入っとる。丁寧な仕事してくれたら、ほんでええ。甲斐田社長は、器量の大きい人じゃ。納得出来るまでやり直しすりゃええで無いかい。わしが保証するきん」
そう言って沢木は、一端自分の事務所に戻ると帰って行く。




