秘めた才能
沢木の舌鋒は鋭く、今日は何時もと全く違って眼が鋭かった。
「あ・・それは、沢木さん使翔する初霜号系が、超スピード系だと言う事です。それだけ歴然とした差があるからこそ、ダントツの1~5位。それも5羽参加の完全圧勝じゃ無いですか、証明してますよ」
沢木は、
「いやいや、ほなん事今は言うて無い。論点が違う。何でしまなみ通った最短距離の鳩が、遅れを取ったんかと聞いとんのよ。8位の村本君とこのそのルートなら実距離390キロ。おいやんとこと5キロしか変わらん。ほやきんど、分速にして、150メートル離れとる。木本君の鳩は、ファンネ系飛び筋のレビン号直系・・ 特に短・中距離レースは強いんじゃ。長谷川君、資質だけでは、短距離は語れんど?その辺はどう思う?」
沢木は、長谷川に論戦を挑んでいるように聞こえる。そして、それはそのまま周囲の競翔家への解説となっていた。ほぼ全員が、沢木の所へ集まった。長谷川は、これは沢木が自分に目を掛けてくれているのだと思い、喜んで論戦に応じた。自分の論が、特に最近若手連中からも敬遠され、西条に到っては、その窓口からも拒絶されてしまう。思う存分持論をぶつけられる相手は、沢木しか存在せぬ・そう思っていたからだ。




