秘めた才能
「おとろしい血統じゃ・・わしの最高傑作になるやも知れん、松竜号と肩を並べる・・いや、それ以上の鳩が5羽も居るじゃと・?じゅんの使翔法も、正直おとろしいわ・・」
開函時・・・
「うわあ!分速1900メートルも出とるで、沢木さんとこ!」
「何で!松本さんとこと違うかったんな、今度の300キロも」
長谷川が、まるで自分の事であるかのように鼻を膨らませながら、解説している。沢木流使翔法を・・。
「やっぱりな、吹田200キロレースが最大の鬼門なんよ。外すか、外さんか・・外したとしたら、どなな訓練を行なうか・・その差が如実に今回は出たんと違うな?」
反論する者は居ない。その超スピード振りを発揮したのだ、やっと300キロレースにおいて。勿論1~5位を独占、6位の松本とは分速で200メートル近い差が出ている。鳩舎到達距離差は、6キロから10キロもあったと言う事になるだろう。圧倒的な差である・・それを長谷川が力説しているのだが、少し秋山だけは眉を顰めている。長谷川さん、人の事は良い、自分はどうなんだ?秋山はそう言いたいのだが、ぐっと言葉を飲んでいた。このレース、村本が7位、秋山も9位に入賞。分速としては、1600メートル台後半であった。8位には、木本、10位に西条が入った。




