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秘めた才能
ようやく、モーニングを食べに近所の者や、常連が顔を見せるが、競翔関係者は皆無。
洋司が沢木の前に座り、少し雑談に入った。
「じゅんさんとこが速かったんじゃとは思うきんどね、うちんとこの鳩も考えて見りゃあ、分速1500メートル以上出とるきん、遅うは無いんじゃないんかいねえ」
そりゃそうじゃわのと、肯定しながらも沢木は、
「こりゃあ、今日は3つ位の集団になっとるかも知れん。即答は出来んきんど、もうすぐ電話入るじゃろ、わしはおいやんとこ行って見るわ。ほな、はっきりするじゃろ。松竜号が先頭集団に居らんのじゃったら、このレースは全く読めん」
そう言って沢木は、少し慌てたように出て行った。
沢木が出た後、連絡役のとりから洋司に一報。AM9時40分の事だった。洋司の鳩も1番手から後、ぼつぼち戻って来ていた。
「洋司さんとこ9時5分かいね、ええタイムじゃねえ・・うちんとこ9時10分ですわ」
少し洋司が驚いた。9時5分が良いタイムだと言う・?それでは沢木の8時30分が一番遅い打刻と言うのは、どう言う事なのかと聞いたら・・電話の向こうのとりが慌てた。




