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秘めた才能
「どんなですか、仕上がり・・200キロ吹田は、かなり悪かった見たいですわ、沢木さん」
「おう、7割ちゅう事っちゃの、帰還率・・後日戻んた鳩、明日、皆間違うて打刻せんとかないかんのう、ははは」
結構300キロ大江八幡レースで、200キロレース未帰還の鳩が一緒に戻るケースがあるのだ。その為ゴム輪の色を変えては居るが、一緒に打刻してしまうケースが無数にある。勿論全鳩失格になるが・・そして、200キロレース後日帰りの鳩は、結果的に、以降の今秋のレースには当然乍ら見合わせる事になるのである・・
「そういや・・・200キロ後日帰りの鳩を、500キロレースに参加させた鳩舎もありますね、過去には」
長谷川が言う。沢木は、
「はは、それ、あながち間違いとは言えんのど?長谷川君」
きょとんとして、長谷川は、沢木の言葉を聞いた。そこへ数人が集まって来る。
その中の一人、中村と言う60歳の競翔家が、
「そうそう・・昔はの、長谷川君、若鳩ばっかりとは限らんかったんじゃわ。成鳩の調整で参加さす鳩舎も多かった。春、秋参加させて何でいかんのじゃ・・そなな話もある」




