秘めた才能
「分速1500メートル近くまで伸びたやも知れんです。推察にしか過ぎんきんど」
「いえ、頷けますよ。そして、その気流の存在も確かです。S工大には、その資料も御座います。あの・・どこから、それを?」
「実に奇妙な事にじゃねえ・・気球なんですわ。たまたま冒険家が偶然によって発見したんじゃ言うてます」
「なるほど・・どうして、こんな気流があるのかと・・それも高度の200メートルから300メートルの中で・・ですね?」
「はは・・そこまでわしは言及しとらんけど・・鳩の飛び帰るその時、気圧の関係では、その流れは当てはまらんですわな。ほれに、何故焼尻島へ向う必要があるのかどうか。そっち向いて飛ばん事には成り立つ話では無い。偶然と見るんか、必然と見るんか・・それもやっぱり、条件に含まれる訳ですわ」
「けど・・沢木さんはそう言う訓練をなさった・・」
「しました、当然。そやきん、閃竜号は、奥尻島まで難なく飛び、じゃきんこそ、未知の地から戻れたんじゃと思うとります。条件その2になるきんど、紫竜号のような幅広い副翼や、密な羽毛、ほんで、それによって高度を得る飛び方は、すずらん号系譜では無理。それは、初霜号系でも同じ。何故、香月博士が、わしにこの系統を託されたんかは、最初に戻って形態の2になるちゅう事です」




