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秘めた才能

「・・そこに気付かれていましたか、沢木さん」

「香月博士が後年、紫竜号の翔歴からご研究されたように、この考えでは、日本海、太平洋それぞれに時期に発生するその空気の流れがある・・わしが到達したんが、稚内GN当日帰りの可能性ですわ。そやきんど、これは、奇跡の偶然による条件が要る」

「・・つまり、すずらん号・・閃竜号ですね?」


 沢木は頷いた。


「ほうです・・いかなる優秀で天分を持つ鳩であろうと、この激しい空気の流れを飛翔するには、鼻腔の形状が大きい・・。鼻腔の大きい、鼻瘤の沸いたような鳩はまず無理。3年までの若鳩に絞られる訳ですわ、第一条件は」

「沢木さん・・貴方の鬼眼・・着眼点、そのご高説・・。素晴らしいです。私も研究中です、それは」


 香月は、今度はきらきらした眼になり、そう言った。


「時間があるきん、わしの考え言います。気流は、時速160キロに及ぶ。その流れの中では、翼を広げた鳶の状態でかまわん、それは、稚内から焼尻島まで続き、それから一気に奥尻島まで流れとる。春の一時期の事じゃきんどね・・閃竜号は、この気流には今回恵まれとりませんきんど・・」

「じゃあ・・・その気流に乗れば?」

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