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秘めた才能

「そうです。2年間ちゅうて引き受けたのは、香月博士の初霜号系も同じ事。当然ながら、わしに求めて居られた事は、四国の地にあって、その早熟性とスピード性の実証ですわね?初霜号系は、果たして稚内1400キロGNレースに適した血統なのか、或いは1300キロ羽幌向きなのか、その見極め部分が大きい・・違うますかいね?]

「その通りです。沢木さんなら私の意図を汲んで下さると思っていました」

「ところが・・香月博士、わしの考えじゃきん、笑い飛ばしてくれても結構じゃし、ちょっと話が逸れるかも知れんのじゃきんど・・」

「・・どうぞ。沢木さんと、こんなお話が出来る機会はそう度々とは無いでしょうし、実際、お話の中には、我々学者が驚嘆するような、未知の分野に対する視点があります。聞かせて下さい、是非」

「海に流れがあるように・・空気にも流れがある・・これは当たり前じゃわね?」

「・・はい。」

「海流、気流とは別にして、沖合いから岸に向うんが、向岸流、岸から逆に沖合いに向うのは、離岸流、海岸に平行に流れるのが、並岸流言いますわね」


 香月の顔が、さっと変わった。それは、沢木の夢想が、虚仮の理論では無い事を意味していた。

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