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秘めた才能

「沢木さん・・素晴らしいお考えだと思います。そして、未来型競翔のスタイルも、そのお考えの中にある。しかしながら、敢えて言わせて下さい。人・特に日本人は村社会、地域社会と言った団体で規律を守り、行動する民族です。そこに拓さんの良い部分と、伝統の名の元にあって実は廃すべき慣習が存在します。そして、何かの変革を行なう時、そこには必ずどんな世界にあろうと、反対する勢力が出来る。改革をする勢力と抵抗勢力・・或いは勢力図が反対であったとして、沢木さん、貴方の人生の中で一体どれだけの事が成し得られるのでしょうか?その改革には、相当長い年月と、貴方には、守るべき家族と会社と、そして大事に想って下さるご友人達、大きな意味での家族があります。実に素晴らしいお考えではありますが、貴方は、命を削るおつもりですか?」


 香月の眼に、言い様の無い寂寥感を感じた。言葉は適当で無いかも知れない。きっと、孤独でもがき続ける沢木の心の奥底を、彼は感じ取ったのだろう・・。

 沢木は、環が由香里に渡した同じアルバムをこの時、黙って香月に渡した。

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