秘めた才能
「予想飛翔実距離・・1300キロ、費やした時間、18時間 分速1220メートルです。これは日本記録と違いますかいね?その正式な延べ飛翔記録には加えてやれんきんど、これが稚内じゃったら、実距離1600キロになるんですわ。当日帰りちゅうんは、そこから弾き出しても現実性の無い夢想・・虚仮の理想ちゅう事になる」
「そこまで求めて居られるのですね、やはり。1400キロ稚内レースを12時間で帰舎させる夢とは・・恐れ入ります。で?初霜号系では無理ですか?その夢は」
「・・分からんです。届くのか届かんのか・・それは閃竜号とて同じ。春には3羽目の松竜号が既に誕生してしもうた。すずらん号の系譜とは、競翔鳩の突然変異なんかいね・・実際の所」
「・・ 全てを語る事は出来ませんが、系譜からは、スプリント号、同じ夜風系の黒竜号、清竜号、輝竜号、閃竜号、松竜号ですか・・6羽も超抜な鳩が誕生した訳です。つまりこのDNAは、必ず近未来の鳩競翔の歴史を変えるでしょう。6割しか競翔鳩が戻る事が出来ないような、そんな時代は変革して行くでしょう。更に、迷い込み鳩ネットワー クが確立する事により、鳩競翔=淘汰の歴史は終わりを告げるのです」
「質の高い競翔を求める事になったら、放鳩専用鳩舎言うんが出来ますなあ、はは」
学者になった今でも香月は、やはり競翔鳩研究の第一人者としての位置に居るのである。




