閃きの中で・・

秘めた才能

「深いですね・・本当に大きい方だ・・。私もそうあるべき親になりたいです。ところで？この秋は、どうでしょうか？」

「明後日は、300キロ運輸大臣杯大江八幡レースの持ち寄りです。昨日こっちから放鳩した、閃竜号はどうやら帰還したようじゃ。たった1羽のレース・・。わしは、やっぱりど偉い星を持って産まれとる鳩じゃと思うとります。この鳩には、常識やか通じんと思います。500キロレースしか経験無い鳩が、いきなり1100キロの距離を戻った訳ですきんね」

「常識的には、確かに考えられなかった選択肢でしたね。しかし、その間に至る周到な準備と訓練内容を聞けば、納得致します。北コースですね？沢木さんの狙いは」

「ほうです・・海を怖がらん鳩が稚内を制する・・わしは思います。閃竜号は戻るべくして戻った訳です・・ただ、2日帰舎まで要しましたきんどね」

「ふふふ・・帰舎に丸2日・・でも、閃竜号は未だ1歳半の若鳩ですよ？沢木さん。そして、その帰還時間も驚異的です、あくまで一般論として」

　香月は笑った。