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秘めた才能
この週、沢木は北海道に居た。当に日本中を駆け巡るように、神出鬼没な勢いであった。先月香月が四国に来た理由が、実はここにある。
香月は、北海道大学を中心としたプロジェクトを組んで居た。そこに招かれたのである。それは、大規模な地熱発電を行なう研究であり、メタンガスをいかに利用するかと言うものであった。資源の少ない国、日本。近将来、石油に代わるエネルギー確保の取組みは、世界各国で既に行なわれているが、ここまで、高度成長期の日本にあって、政府や、大企業、大学は消極的である。しかし、沢木は、香月に提案していたのである。
「家畜の糞を集めて、メタンガスですか。面白い」
香月は、北海道大学に研究を委託。石炭が石油に代わるこの時代。先の先まで見越した研究こそ、きっと日本の将来に役に立つ。そこまで提案を受けて、各方面の有識者を集め、有効と感じて行動を開始したのであった。
「家畜の糞尿から、メタンガスかいね・・北海道ならではのアイデアじゃねえ」
沢木は、感心した。




