秘めた才能
「15人の中で、5票、俊夫さんの新菓子に入ってます。これは、俊夫さんの新作が否定された訳で無いと思うんですよ。もう少し発表遅らせてもええじゃ無いですか、今一度挑戦しませんか?ね?」
「・・よっしゃ。俺も親父に負けては居れんきん、もう一度開店間際まで思考錯誤して見るわ、恵比寿さん、お願いします」
先日少し物足りないと言ったヤマチューが、2票入れていた。それは、ヤマチューのような若い世代には、受入れられる要素が含まれているからだ。恵比寿は逆に、この試みをやって良かったと思った。
主婦が、
「待ち遠しいなあ、再開・・私のとこは、しょっちゅう畑田さんとこに顔出しとったきんね。俊夫君が戻って来てくれて嬉しいわ」
恵比寿は、学校帰りの女子高生達にも新菓子を配ったりした。既にオープン前から彼女はマーケティングも開始していたのである。深い・・ヤマチューは思った。それぞれの3人には、到底今自分は追いつく事が出来ないだろう、しかし、目標は出来たのだ。
沢木が出張から戻るまで、善さんの送り迎えをしたり、藍川牧場に行ったり、3人からの要請で手伝いに行ったり・・・ヤマチューは全員に受け入れられたのだった。改めて、トータルインテリアショップ沢木に。




