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由香里と勇次
「じゅんおっちゃんと、おいやん、知り合いやったんな?」
「知り合いも何も・・もう30年以上前から知っとるよ。まあ、ほやきんど、この20年位はご無沙汰やったわのう、あいつがこっち(四国)離れて、大阪行っとって、それから結婚して、こっち又もんて(戻って)讃岐の方に養子に入り、結婚して、家を構えとるちゅう話は聞いとったきんどのう・・」
「へえ・・ほんな事ですか・・まあ、奇遇じゃわねえ。いや・・わし等にとってじゅんさんは、自分の師でもあり、釣りの師匠でもあり、家族同然の特別な人なんですわ」
松本は、洋司の言葉に大きく頷いた。
「ありゃあ・・ええ奴じゃ。べらべらそなん人の事は言わん。そやきんど、物事の本質を見る眼と、心にぬくい(温かい)もんがある。わしもな、じゅんたろべえちゅうて、沢木を呼んで、特別に親しかったんじゃ。あいつが鳩レースをやっとった時も、若いちゅうても、周囲から一目置かれるような只者や無かったわ。天才競翔家言われとった・・」




