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秘めた才能

「え?勿論じゃ、何で今更?」

「慌てる必要あります?開店に合わせて新作を並べたいお気持ちは理解出来るけど、無理に時間を区切る必要は無いと思うきんどね、それなら」


 恵比寿が言うと、俊夫の顔は未だ苦り切っていた。

 自分なりに、自信を持って創作した新菓子だからだ。そこに職人としてのプライドを感じるが・・

 恵比寿は、じゃあと言いながら、


「ほんなら、ちょっと私にアイデアがあるんで、協力してくれます?」

「え・・、はあ・・」


 現在改装工事に掛かっている、職人10名と、ヤマチュー、それに近所の主婦を集めて、試食会を恵比寿の提案で催す事になった。工事に忙しい昼の時間を避けて、午後5時にやった。場所は、地区集会所を利用した。

 恵比寿は、実行力もある女性だ。一番コーディネーターとしては、沢木に近い感性の持ち主かも知れない。全員目隠しをしての試食会であった。これには、俊夫も少し面食らっている。

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