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秘めた才能

 そして、恵比寿は、当に感性の塊のような女性。知識でも無く、学問からなる法でも無く、感覚的に眼の前の事象を、アレンジして捉え、それを破壊し、新たな物として生まれ変わらせる才能を持つ。ファッションデザイナーとは個性である。そこには強烈な自己アピールがあり、一つの形が生まれる。それが、ブランドと言うものに繋がるのであるが、恵比寿は違う。同じ物は二度と作らない。それは、その瞬間に産まれたその事象なのであって、全くその先は無秩序の世界。恵比寿には、無限と言う世界観が広がる。沢木は、彼女が服飾学校のデザインをした発表会に、たまたま招かれ、その才能を感じた。そして、数年を経て未だに売れない彼女のデザイン画を、又偶然に市が主催する、イメージキャラクター応募の中で見つけた。

 それが、沢木と恵比寿の再会だった。

 沢木は、こんな言葉を掛けたと言う。


「あんた、犬の絵どう描くな?」

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