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由香里と勇次
「おいやん、嬉しい!」
由香里がこれ以上無い笑顔で玄関に出て来た。
わはは・・松本を迎えて、鳩舎に移した巣立ち直後の雛達は、ピーピーと鳴きながら、互いの嘴を突っつき合っていた。それは、親鳩から口移しで餌を強請る仕草であった。細かい松本からの飼育に関する注意事項と、これからの入舎訓練、舎外訓練のやり方を聞きながら、それは10数年来の知己のように、佐々木一家と松本は楽しい会話を交わしていた。改めて、この松本が連合会会長をしている所に入会出来て良かったと思う洋司であった。
そして、会話の途中で、意外な話が松本の口から語られた。
「ほんでな、佐々木さん・・あんた、じゅんたろべえ・・いや、沢木と知り合いやったんじゃてなあ・・」
洋司が驚いた。
「えっ!じゅんさん?あれ・・何で松本さんが?どなな知り合いかいね?わしの方がびっくりしたぞね・・」
由香里も聞いた。




