10/3046
車椅子の少女
「あ・はい。この娘は、小さい時からそう言う勘が滅法強かったですきん、よう周囲をびっくりさせとりました」
頷きながら、松本が
「約束じゃ、わしは由香里ちゃんに8羽の鳩をやる。この東予連合会にも入会許可する。第一腹が巣立ちするまでに、鳩舎を建てて、最初は選手鳩だけ飼うたらええ。ほんで、残った鳩から、交配をそれぞれ変えるきん、番にさせて子を引いたらええ。アドバイスはわしが全面協力する」
「ほんま!ほんまに!、おっちゃん、有難う!有難う!」
由香里の喜びようを見て、松本は、鎌足と、香月の不思議な巡り逢い、そして由香里と言う存在の不思議な縁、輪廻を何か感じたのだった。
親子が帰った後、妻鳥道夫と言う、25歳の体格がかっちりした男が入れ替わりのように訪れた。松本の愛弟子とも言える、人の良い競翔家である。