第4話
〜第4話〜
俺達が教室に滑り込んだのは、結局HR開始1分前だった。
あの場所から教室までは意外と距離があり、いつものごとく走るはめになっていしまったのだ。
ま、遅刻しなかっただけましとしよう。俺は前向きな思考の持ち主なんだ。
「二人揃っての登校とは、相変わらず仲がいいな」
「たまたま一緒になっただけだよ」
「照れるなよ、別に深い意味はないさ」
やれやれ。
教室に入る早々にそんなことを言ってくる目の前の悪友。走った後にお前の顔は正直見たくないんだがな。
「だから照れるなよ」
「しつこい……」
ニヤニヤ顔をこちらに向けているこいつは七倉俊介。さっきも言ったが俺の悪友だ。
少し長めの髪をワックスでまとめ、少し微笑(俺にはにやけ面にしか見えない)を浮かべたその様は、そこらのファッション雑誌に載っていても別段不思議ではないほどだ。
実際こいつはもてる。もっともいいのはあくまで見た目だけであり、内面は破綻しているやつなんだがな。
「大体だ、周りが聞いたら誤解するような発言はやめろ」
「お前もやぶさかではないのだからいいだろう?」
売り言葉に買い言葉。こいつと話すと一向に収集がつかないのは何でだろうな?
よし瑠璃。後は任せたぞ。
俺は一足先に席でぐで〜っとするから。
現在の俺の席は窓際最後尾という、教室内でのファーストクラス。
しかも我がクラスは奇数人ということもあり、俺の隣は空席。まさにパラダイスなのさ。
さてと、ぐで〜っとしようかな。
「ときに水野、知っているか」
「うるさい、黙れ、顔を近づけるな」
お前の顔のアップなど見たくもない。というかしゃべるのも疲れるからどこかに行ってくれ。
そして俺をぐで〜っとさせてくれ。
「四六時中そうしている奴が何を言っているのだ。それよりも聞け、耳寄りな情報だ」
おい、瑠璃はどうした。こいつに言いたいことがあれば何でも言っていいぞ。今なら俺が許すから。
その瑠璃はと言えば、すでに自分の席で友達と話してやがった。お前、何諦めたような顔してるんだよ。
「で、何を知ってるって?」
これ以上話を引き伸ばすのもあれだからな、とりあえずお前の話を聞こうじゃないか。
「実はだな、今日転校生が来るらしいのだ」
「どこからの情報だ?」
「企業秘密だな。軽々しく口にすることはできんのだよ」
お前はどこの企業に所属してるんだよと言いかけたが、実際本当に所属してそうなのでやめておく。こいつには謎が多いんだ。
しかし、転校生とは珍しい。しかもこんな時期に来るなんてな。どういうことだ?
「そこまではわからん。こちらもこの情報を掴むのが精一杯だったのでな」
そうかい。そのうち捕まらないように気をつけるんだな。
しかし少し気になりはするな。どんな奴なんだろうな?少しはまともな奴であってほしいのだが。
「全員座れ〜」
我らが担任の登場のようだ。別にたいした人物ではないので紹介は割愛させてもらおう。強いて言うなら熱血体育教師ってところだ。
それ以上の説明はないな。
いつもどおりのHR……、のつもりなのか担任よ?何かを隠してるのがばればれだ。
事情がわかっている俺はいいが、他の奴らがひいてるぞ?早く転校生を紹介してやれ、でないと教師としての尊厳があぶないかもな。
まったく、やれやれだ。
なんか、話がまったく進んでないような気がする
今日この頃…
き、きっと大丈夫ですよね〜あはは…
……(逃走)